1.がん治療:重粒子線治療、付属病院内に施設設置へ-山形大
2.3大死因いずれも増加、順位変わらず―厚労省推計
3.名工大、骨の手術穴再生促進へ新素材
4.リウマチ遺伝子発見 京大グループ、治療に期待
5.体外受精培養液に化学物質 妊婦血液の最大100倍
6.胃バイパス手術で肥満者の心臓疾患死リスクが低下、研究
7.【厚労省】副作用被害救済の不支給‐患者判断の使用事例も
8.EBMの導入などで医療の「悪平等」解消を- 経済評論家・勝間和代氏に聞く
9.尊厳死法制化で議連が骨子まとめる
10.私が症例報告を書き続ける理由
11.変形性膝関節症を診る
12.DVTへのカテーテル血栓溶解療法で血栓後症候群リスクが低下
13.アトピー性皮膚炎の維持療法
14.再発乳癌:長期生存の治療戦略
15.Mental Decline Can Start at 45, Study Finds
16.Could Daily Aspirin Harm Seniors' Eyes?
17.Flu Prevention Critical for Those With Neurologic Conditions, CDC Says
18.Drug Eases Gout Flare-ups in Some Patients: Study
19.Blood Test May Reveal Child's Sex Soon After Conception
20.Heart Failure, Diabetes Might Be Linked by Protein
21.Antibiotics in Pregnancy May Shield Newborns From Strep B
22.日本医師会10大ニュース2011
23.2012年1月5日 インフルエンザの発生状況について
24.プレスリリース
1) 武田薬品と阪大、ナノ粒子ワクチンの実用化・産業化に向け共同研究講座を設置
2) ドラベ症候群治療薬ME2080(スチリペントール)製造販売承認申請のお知らせ
3) ドライアイ治療剤「ムコスタ点眼液UD2%」1月5日 新発売
25.Other Topics
1) 世界初「キメラ」猿…遺伝的に異なる細胞混在
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1.がん治療:重粒子線治療、付属病院内に施設設置へ-山形大
毎日新聞社2012年1月6日
山形大は5日、重粒子線治療によるがん治療施設を、山形市飯田西2の医学部付属病院敷地内に設置する計画を進めていることを明らかにした。重粒子線治療は、患者の体にメスを入れずに、粒子線をがん細胞に照射する最先端の治療方法。実現すれば東北初の施設で、同大は近く検討組織を設ける方針。
結城章夫学長が5日の記者会見で発表した。同大医学部によると、総事業費は約150億円で、年間2000人程度の利用を見込んでいる。付属病院内に開設することで、病院の他部門との連携も期待できるという。
重粒子線によるがん治療は、前立腺がんや体の深部にできたがんへの治療に効果的とされている。国内では、放射線医学総合研究所(千葉県)▽兵庫県立粒子線医療センター▽群馬大重粒子線医学研究センターの3カ所で稼働している。
2.3大死因いずれも増加、順位変わらず―厚労省推計
Medical Tribune2012年1月6日
厚生労働省は1月1日、2011年人口動態の年間推計を発表した。3大死因順位は悪性新生物(がん)、心臓病、脳血管疾患(脳卒中)と変わらなかったが、 前年に比べていずれも死亡数の増加が推計された。そのほかの年間推計項目は、死亡数、出生数、死産数、自然増減数、婚姻件数、離婚件数で、これらの統計月報年計(概数)の公表は6月を予定している。
東日本大震災の影響も
2011年の年間死亡数は126万1,000人(前年比6万4,000人増、人口1,000人当たり死亡率10.0)、出生数は105万7,000人(同1万4,000人減)で、人口の自然増減数は-20万4,000人(前年-12万5,708人)と推計された。
3大死因の死亡数の推計は、第1位が悪性新生物(がん)の35万8,000人、第2位は心臓病の19万8,000人、第3位が脳血管疾患(脳卒中)の12万6,000人。順位は変わらないものの、前年に比べていずれも増加している。
一方、婚姻件数は67万組で前年比3万組減、離婚件数は23万5,000組で同1万6,000組減と推計された。
なお、厚労省によると、今回の推計結果は、2011年3月に起きた東日本大震災の影響により調査票の一部が収集できていないため過小推計となる一方、死亡数については1~12月の増減率の推計値として用いる1~10月の増減率(対前年同期比)が1~12月の増減率より大きくなると考えられる可能性もあるという。
◆資料
◆平成23年(2011) 人口動態統計の年間推計
3.名工大、骨の手術穴再生促進へ新素材
共同通信社2012年1月6日
椎間板ヘルニアや骨肉腫などのがんの手術で骨に開けた空洞に詰め、早期の再生を促す綿状の新素材を、名古屋工業大の春日敏宏教授らのグループが開発した。研究レベルでは紙状の素材も同時に完成。2012年中に米国で臨床試験をスタートさせる。
現在の医療現場では、開いた穴に本人から取った骨を整形して詰める方法が一般的だ。しかし、患者に負担がかかるうえ、骨は硬くて整形が難しく、穴にうまく合わないため空洞が残ってしまう恐れがあった。
新素材には骨の原料のカルシウムと細胞を活発に働かせるケイ素などを使用。材料を混ぜ合わせて、通常の綿繊維の10分の1の太さに相当する直径10マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)~15マイクロメートルの糸状に加工し、紙や綿のようなシート状に整える。
新素材の繊維はしっかりと空洞を埋められると同時に、押し込んでも再生された細胞が入ってこられるわずかな隙間が残る太さ。実際に使った場合には体内で徐々に溶けて最終的にはなくなってしまう。
ウサギを使った実験では、自分の骨で空洞を埋めた際と同じ4週目で再生が始まり、素材は半年で体内から消えた。セラミックを活用する素材もあるが、再生開始まで2~3カ月も必要となるうえ、値段が新素材の倍近い。
春日教授は「高齢化が進む日本でこそ骨再生の技術が重要だ」と強調しているが、認可に10年近くかかるため、米国での臨床試験を選択した。
「米国なら臨床試験をしながら販売もできる。本当は日本で臨床試験をしたかった」と話している。
4.リウマチ遺伝子発見 京大グループ、治療に期待
共同通信社2012年1月6日
関節リウマチの患部に多く現れるタンパク質を、京都大医学研究科の伊藤宣准教授らのグループが新たに見つけた。リウマチの診断や治療に役立つ成果という。
手足の関節が侵される関節リウマチでは、関節を包み込む滑膜に炎症が起こり、進行すると軟骨や骨が破壊されていく。
グループは、マウスを使った実験で、炎症が起きている滑膜では、コレステロールの一種と結合するタンパク質LOX―1が多く現れていることを見つけた。LOX―1とコレステロールの結合を阻害すると、炎症や関節の破壊が抑えられることも確認した。
関節リウマチの患者50人の血液を解析した結果、症状が重い患者ほどLOX―1の一部(sLOX―1)の濃度が高く、治療で症状が改善した患者は濃度が下がることも分かった。
現在、関節リウマチの診断では、血中の炎症性の物質や滑膜が作る酵素の濃度を調べる検査が行われているが、sLOX―1を新たな指標として用いることも期待できるという。
5.体外受精培養液に化学物質 妊婦血液の最大100倍
日本経済新聞社2012年1月6日
プラスチックを加工しやすくする化学物質「フタル酸エステル類」が、人の体外受精で必要となる培養液に高い濃度で含まれていることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。妊婦の血液から検出される濃度の最大で約100倍に相当。動物の胎児の生殖機能に影響を与える濃度の千分の1ほどだが、マウスの細胞の遺伝子には異常が起きるレベルで、受精卵や胎児への影響が懸念される。
日本では体外受精で毎年2万人以上の赤ちゃんが生まれており、主任研究者で有隣厚生会東部病院(静岡県御殿場市)の牧野恒久院長は「生命発生の重要な時期にこのような培養液を使って大丈夫なのか、詳しく調べる必要がある」と説明、培養液に高濃度の化学物質が含まれるとの研究結果は世界初という。
フタル酸エステル類は身近な工業製品に幅広く使われており、人の血液や尿からも検出され、空気や食品などを通じた体内への取り込みが問題となっている。
研究班が調べたのは、精子を選別したり、受精卵を数日間育てたりするための培養液24製品と、培養液に栄養源として添加する人の血清6製品。国内の臨床現場で使われているほとんどの製品を分析対象にしたという。
培養液からは、フタル酸エステル類のDEHPが1ミリリットル当たり約10~110ナノ(ナノは10億分の1)グラム、DEHPが体内で代謝されてできるMEHPは約2~250ナノグラム検出された。いずれも、人の血清が含まれる製品で濃度が高い傾向にあった。一方、妊婦の血液からはDEHPは約10ナノグラム、MEHPは約2ナノグラム検出された。
培養液への添加用の血清では、DEHPが最大約980ナノグラム、MEHPが1840ナノグラムとさらに高濃度で、海外などで提供された血液が汚染されていた可能性があるという。
6.胃バイパス手術で肥満者の心臓疾患死リスクが低下、研究
AFPBB News2012年1月6日
胃袋を小さくする胃バイパス手術などの肥満治療手術を受けた肥満患者は、ほかの減量治療を受けた患者よりも心臓まひや発作による死亡率が低いとの研究論文が、米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association)の1月4日号に掲載された。
スウェーデン・イエーテボリ大学(University of Gothenburg)の研究チームは1987年から2001年にかけ、肥満の被験者約4000人を国内で募集し、2年、10年、15年、20年後に追跡調査を行った。
被験者のうち肥満治療手術を受けた人たちの内訳は、胃バイパス手術を受けた人が13.2%、胃バンディング手術が18.7%、垂直帯胃形成術が68.1%で、追跡期間中に全員が16~23%の減量に成功している。
一方、肥満治療手術を受けていない対照群の減量の割合は0~1%だった。
心臓まひによる死亡者は、手術を受けたグループで22人、対照群では37人だった。
こうした結果から、研究チームは、肥満治療手術と心臓まひおよび心臓発作による死亡の減少に関連性が認められると結論づけた。また、死に至らない、心臓まひや心臓発作の発生率も減少していた。
一方、体重の変化だけをみた場合、両グループとも、心臓疾患死との目立った関連性は認められなかった。このことから、減量だけが心臓疾患死を減らす要因ではないとみられる。
「メッセージは明らか。肥満治療手術は命を救うということだ」と、米ニューヨーク(New York)のレノックス・ヒル病院(Lenox Hill Hospital)で肥満治療手術を担当するミッチェル・ロズリン(Mitchell Roslin)医師は言う。ロズリン医師は、イエーテボリ大の研究には関わっていない。
論文のなかでは垂直帯胃形成術を受けた被験者が最も多かったが、現在ではこれに代わる、より効果的な新しい手術法が多く取り入られていることから、ロズリン医師は心臓疾患死リスクは研究時よりもさらに減少しているだろうと指摘した。
胃バイパス手術は、胃袋を小さく分割し、食物の摂取量を少量に抑えるための手術。国民の3人に1人が肥満の米国では、毎年20万件行われている。
7.【厚労省】副作用被害救済の不支給‐患者判断の使用事例も
薬事日報社2012年1月6日
厚生労働省医薬食品局は「医薬品・医療機器等安全性情報」で、医薬品を適正に使用しなかったために副作用被害救済制度から給付金や医療手当が支給されなかった事例を紹介している。それによると、必要な検査を実施していなかったり、承認された効能・効果、用法・用量と異なる使い方や、使用上の注意の「禁忌」「重要な基本的注意」に従わなかった場合のほか、医師の処方に反する使用を自己判断で行って、救済を受けられなかった患者もいた。
医薬品副作用被害救済制度は、製薬企業からの拠出金を財源として医薬品医療機器総合機構が運営している。医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した、重度の健康被害を受けた患者や家族を救済する仕組みで、1980年の創設から1万人以上が請求し、うち約1500人が不支給となっている。2010年度は97人が不支給となり、医薬品の副作用と認められなかったのが42%、健康被害が軽度だったのが21%で、次いで不適正使用が15%を占めた。
安全性情報では、チアマゾールで定期的に実施することになっている血液検査を怠った事例や、塩酸リドカイン・アドレナリン注射剤を禁忌の足趾に局注して、適正使用と認められなかった事例を掲載。また、医師が中止を指示したにもかかわらずカルバマゼピンの継続服用して薬剤性過敏症症候群を発症したり、家族に処方された総合感冒薬を使用して薬物性肝障害が現れた事例を紹介している。
厚労省は、使用上の注意の熟読と医薬品の適正使用を呼びかけると共に、適正な使用でない場合に公的な救済が行われないことに注意を促している。
8.EBMの導入などで医療の「悪平等」解消を- 経済評論家・勝間和代氏に聞く
CareerBrain2012年1月6日
上腕二頭筋はどこにあるのでしょうか?
昨年末に発表された2012年度の診療・介護報酬の同時改定の改定率は、診療報酬全体で0.004%、介護で1.2%という、わずかな引き上げにとどまった。報酬が伸び悩む状況について、「医師不足を解消するためにも、医師に対しては十分な報酬を出すべきです。介護従事者についても同様です」と主張するのは、経済評論家の勝間和代氏だ。その一方で、勝間氏は、現状の日本の医療提供体制を「悪平等」と断じ、EBM【編注】の普及や、混合診療の拡大などの"処方せん"で、その解消を目指すべきと訴える。経済評論家の視点で考えた医療や介護、そして社会保障のあるべき姿とは―。
【編注】根拠に基づいた医療。治療や投薬が医学的にも経済的にも有効かどうかを評価し、有効と証明された医療。
■「消費税アップの前に納税番号制導入を」
―昨年、税と社会保障の一体改革の成案が示され、社会保障制度を維持するため、「10年代半ばまでに段階的に消費税率(国・地方)を10%まで引き上げ、当面の社会保障改革にかかる安定財源を確保する」ことが提言されました。
確かに、将来的には、消費税引き上げも必要になってくるでしょう。ただ、その前に、現状の課税漏れがどのくらいあるかをはっきりさせる必要があります。納税番号制の導入も急がなければならないでしょう。言い換えるなら、税制上の"穴"を埋めてからでないと、新たな負担を導入しても、あまり意味はないということです。また、デフレが続いている状況で税率だけ上げても、景気が悪化してかえって税収が減るだけです。1997年の消費税増税による景気悪化で、税収全体は約5兆円も減ったという教訓を忘れています。
もう一つ、消費税率を上げる前に、本格的に取り組むべきことがあります。「シルバー資本主義」がもたらす、さまざまな不公平を解消することです。
■高齢者への優遇が生み出す弊害とは?
―シルバー資本主義とは、何を意味するのでしょうか。
高齢者に対する過度な優遇と、それに伴う社会資本の高齢者への偏在を指します。一例を挙げるなら、14歳以下の子どもに対する公的財源の直接支給と、65歳以上に対する公的財源の直接支給の割合は1対11です。他の先進諸国では、この比率は1対1程度です。さらに、デフレーションの局面にありながら、年金支給を物価スライドさせなかった結果、7兆円ほどの過払いが生じてもいます。
―高齢者の貧困も問題になっていますが。
もちろん、年齢に関係なくセーフティーネットは不可欠です。しかし、現役世代並みか、それより多くの収入を得ている高齢者も少なくありません。そんな人たちにまで、年金を支払ったり、医療費の自己負担を1割に抑えたりする必要があるでしょうか。
何よりも問題なのは、高齢者への過度な優遇が、若い世代が得るべき社会資本を奪っている点です。その結果、生じているのが、子どもを産まない若年層の増加です。実際、子どもを産める世帯の年収は、ここ10年で50万円ほど減っているのです。教育費全体における公的資金の支出の割合も3.4%にすぎません。5%台が当たり前のOECD(経済協力開発機構)諸国の中では、かなり低いですね。その結果、日本では、国立大学の学費ですら、年間50万-60万円程度とかなり割高となっています。ちなみに、OECD諸国では、国立大学の学費は年間10万-20万円程度です。
医療・介護の無駄と、世代間の負担の不公平解消を
―シルバー資本主義は、医療や介護には、どのような影響をもたらしていますか。
公的な医療保険制度や介護保険制度の維持を難しくしている点が、最大の影響でしょう。
―医療保険や介護保険を維持するために、今できる"処方せん"としては、何が考えられるでしょうか。
簡単に言えば、無駄を省くことです。
日本では、どこまでを地域診療で担当し、どこからをより高度な医療機関で診るのか、その線引きがいまひとつ明らかではありません。そのため、過剰な医療提供が横行しています。その典型例と言えるのが、薬の重複投与でしょう。
また、終末期に入り、回復が期待できなくなった患者を無理に延命させるためだけに、大量の薬剤と人員を投入するやり方も、再検討が必要なテーマと思えます。一方でホスピスの整備や、病気の予防への資金投入は、もっと必要ではないでしょうか。介護については、生活援助をどこまで公的保険の範囲でカバーするかなどの課題があります。
もう一つ必要なことは、世代間の負担の不公平を解消することです。繰り返しますが、高齢とはいえ高所得者の医療費自己負担を1割にとどめる必要があるのでしょうか。また、介護の自己負担についても、検討の余地があります。さらに言えば、医療と介護が、別々の保険でサービス提供されている点も解決すべき課題と思います。
■将来は医療保険・介護保険の一体化を
―医療・介護の両方の公的保険を一体化すべきということでしょうか。
将来的には、そうすべきです。今回の同時改定でも議題となった医療と介護の連携も、両方の保険が一本化すれば、おのずと実現できます。2つの保険の境界にある分野で生じる無駄も省くことができるでしょう。もちろん、簡単にできることではありませんが、両者が一本化することを目指し、動きだすべきです。
―ところで昨年末、政府は、診療報酬の改定率は本体で1.379%、介護報酬の改定率は1.2%アップとしました。現役世代が減り続け、税収の増加が期待できない状況を思えば、今後も医療従事者や介護従事者の報酬は、それほど上がらない可能性もあります。この点、どうお考えでしょうか。
医師不足を解消するためにも、医師に対しては十分な報酬を出すべきです。今後、より多くの人手が必要とされる介護従事者についても、同様です。ただ、その前提として、報酬も含めた日本の医療の「悪平等」を解消する必要があります。
―悪平等とは刺激的な言葉ですが…。
今の日本の医療の現状を思うと、そう断じざるを得ません。例えば、現在の診療報酬では、新米の医者も、すご腕の名医も、同列に評価しています。これでは、医師として長く働き、スキルアップを図りたいという気持ちは起きにくいのではないでしょうか。さらには、他の治療に比べて予防に対するインセンティブは弱くなっています。
まずは、スキルによって報酬を変える体系を導入すべきです。そのためにはEBMをもっと取り入れて、各医師の治療に関する情報を開示させるべきです。さらには、混合診療をある程度、認めることで、柔軟性を認めることも必要です。
セーフティーネットの医療と市場性の医療
―混合診療の導入は、国民皆保険の崩壊につながると強く反対する意見も少なくありません。
混合診療の導入が、なぜ国民皆保険の崩壊に直結するのでしょうか。そんなふうに懸念する理由が全く分かりません。混合診療を導入した歯科の公的保険は崩壊したでしょうか。
とにかく、医療でもセーフティーネットとして機能する部分と、市場性に任せる部分とを分けた方がいい。その両方の観点から医療の在り方を考えるべきなのです。ところが、日本は、医療のすべてをセーフティーネットで扱おうとするから、おかしなことになるのです。いわゆる医療ツーリズムを考える上でも、この点は大きな弊害となっています。
ちなみに、現状のまま医療ツーリズムを推進しても、成功するかどうか、疑問が残ります。確かに、日本の医療レベルは、決して他国に劣るものではないでしょう。しかし、他国の富裕層を呼び込めるほどの技術とサービスを提供できているとは、ちょっと思えません。
―医療で"稼ぐ"ためにも、まず、セーフティーネットとしての医療と、市場性に任せる医療を明確に分ける必要があるということですね。
そうですね。ただ、ビジネスとしての医療の進歩を促すことだけが目的ではありません。このまま、悪平等の医療提供体制を続ければ、医療資源の不足がさらに深刻化するのは目に見えています。そうした状況を避けるためにも、セーフティーネットとしての医療は何なのか、改めて考える必要があると思うのです。
―混合診療の導入・拡大は、一人ひとりの患者や医師には、どんな影響を及ぼすでしょうか。
患者にとっては、医療に対する関心を高める契機となるはずです。同時に治療のバラエティーが広がるというメリットがあります。ちょっとでも保険外のサービスを提供したら、すべてが自由診療となってしまう現状の懲罰的な制度では、保険適用がない最先端治療を受けるのは極めて難しい。見方を変えれば、日本で最先端の治療を受けられるのは、自由診療に耐え得る財力を持った人だけ、ということになります。
医療従事者にとっても、自分たちの努力が業績に直結するというモチベーションを得られます。そうしたモチベーションは、日本の医療そのもののイノベーションにも結び付くはずです。
混合診療の導入を真剣に検討すること。そして、規制を緩和し、EBMに基づく医療を実現すること。日本の医療の悪平等を解消するため、早急に実現を検討すべきことだと思います。
◆勝間和代氏(かつま・かずよ)
1968年、東京生まれ。早大ファイナンスMBA、慶大商学部卒業。19歳で会計士補の資格を取得し、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。株式会社「監査と分析」取締役を務める。また、内閣府男女共同参画会議議員、中央大ビジネススクール客員教授としても活躍。経済評論家としても活動しており、著作累計発行部数は400万部を超える。
9.尊厳死法制化で議連が骨子まとめる
終末期の延命措置差し控えの手順も示す
日経メディカル2012年1月6日
超党派の議員連盟が、延命措置の差し控えについて法律案の骨子を示した。骨子には、患者の意思を尊重して延命措置を差し控えた医師の免責も盛り込んだ。しかし、法制化の実現には障壁も少なくない。
朝日新聞は昨年12月8日、尊厳死法制化を考える議員連盟(会長:参議院議員の増子輝彦氏)が、「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」の骨子をまとめたと報じた。同議連は2005年、日本尊厳死協会の要望を受けて発足。現在は超党派の議員91人で構成されている。
骨子では、終末期や延命措置について定義。終末期を「全ての適切な治療を受けた場合であっても患者に回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態」とした。延命措置は「傷病の治癒ではなく生存期間の延長を目的とする医療上の措置」とし、栄養補給や水分補給も含めることを示した。ただし、終末期と判断される前から行われている治療は、延命措置に含まない。その上で、患者の意思を尊重して延命措置を差し控えることができ、その差し控えについて医師は民事や刑事、行政上の責任などを問われないとした。
延命措置差し控えまでの具体的な流れも盛り込んだ(図1)。まず、担当医以外の知識や経験を有する医師2人以上が終末期を判定。差し控えによって生じる事態を患者や家族に説明した後、それでも拒まない場合などに、延命措置を差し控えてもよいとした。
図1 差し控えまでの流れ(尊厳死法制化を考える議員連盟の資料を基に編集部で作成)
依然として難しい法制化
同議連の会長を務める増子氏は、「1月からの通常国会への法案提出を目指して、日本医師会や日本弁護士連合会、警察庁など関係機関との協議を開始した」と話す。これまでのところ骨子に対しては、「終末期や治療の方向性を各医師が状況に応じて判断できるように、医師の裁量を担保すべき」「終末期と判断される以前からの治療の中止も含むべき」「家族の範囲を詳細に定義すべき」といった意見が出ている。同議連は、こうした意見を踏まえて法案化を目指す考えだ。
ただ、同議連は07年にも医師の免責などを盛り込んだ「臨死状態における延命措置の中止等に関する法律の要綱案」を提示したが、最終的に法案化を断念した経緯がある。「延命措置の中止などについて、患者が意思表示することは一般化していない」「医師の裁量権が担保できない可能性がある」といった反対意見が相次いだからだ。
現在は延命につながりかねない認知症患者への胃瘻造設に慎重な姿勢を示す医師が増えるなど、5年前に比べて終末期医療のあり方についての議論は活発化しつつある。とはいえ、実際の医療現場で、延命措置の差し控えについて患者が意思表示するのは一般化しているとは言いがたい。元気なうちに文書などで意思表示していても、終末期には認知機能が低下して患者の判断能力が疑われたりするケースもある。さらに、終末期と考えられた高齢患者が輸液だけで回復するケースもあり、終末期や延命措置の差し控えの判断は一律にできないのが実情だ。
こうした中で法律の制定を急げば、医療現場に混乱を招きかねない。尊厳死の法制化までにはまだ紆余曲折ありそうだ。
10.私が症例報告を書き続ける理由
池田正行(長崎大学 医歯薬総合研究科教授)
日経メディカル2012年1月6日
私はpeyroniesの病気の自分を治癒する方法
「対照との有意差を出すために、やむを得ず大規模にせざるを得なかった。それが大規模試験の本質です」
これは2002年、金沢で開催されたEBMワークショップでの名郷直樹先生(現・武蔵国分寺公園クリニック院長)の言葉です。初めてお目にかかった名郷先生のこの言葉は、私が持っていた大規模試験信奉を吹き飛ばしてくれました。そして翌年、私が「日本の臨床研究の底上げをする人材育成のため」と大見得を切って、臨床現場を離れて厚生労働省(後にPMDA:医薬品医療機器総合機構)に転じた後も、新薬審査業務の書類の山の中で、名郷先生の名言の行間に隠されたメッセージを学び取ることになったのです。
症例報告こそが原点
本格的な臨床研究というと、多くの人は大規模試験を思い浮かべます。しかし、厚労省・PMDAでの新薬審査は、何千例ものランダム化比較試験とて、一つ一つの症例の積み重ねに過ぎないことを教えてくれました。
大規模試験が個々の症例の積み重ねであるならば、臨床研究の原点は目の前の患者の研究、つまり症例報告に他なりません。そう言っているのは何も私だけではありません。多くの先達が症例報告の大切さを説いています1)。New England Journal of Medicine(NEJM)の一番の売り物が、Case Records of the Massachusetts General Hospitalであることは、本ブログの読者の誰しもが認めるところでしょう。しかし、国内ばかりでなく、海外でも非常に多くの医師が、「今時、症例報告を受け取ってくれる雑誌などない」と、素朴な勘違いをしているようです。
大規模試験偏重から症例報告誌の増加へ
かつて、ページ数もインターネットのサーバー容量も制約が厳しかった時代、NEJMやLancetのような商業誌(!)を筆頭に、多くの雑誌が市場性を考え、広範な読者層に強い訴求力を持つ(と出版社が信じていた)大規模試験の論文を優先して掲載し、症例報告を受け付けなくなったことは事実です。
ですが時代は変わり、今や紙媒体のみの医学雑誌などありません。サーバーの容量も実質上制約がなくなりました。インターネット上で、かつサーバーの容量が問題にならないならば、広い読者層への訴求力よりも、学問的な価値が重視される可能性が高くなります。
さらには図書館の書庫に行かなければお目にかかれないような古い文献を除けば、オンラインでの論文検索も十分満足できる水準になりました。このような論文検索エンジンは、大規模試験論文も症例報告も同じ一つの論文として扱い、差別しません。そして今や熱心な臨床医ならば、大規模試験論文では到底カバーできない問題点を解決すべく、症例報告も検索しているのではないでしょうか。
こうして、もともと臨床研究の原点だった症例報告は、IT技術の発展に伴い、新しい価値を得るようになったのです。症例報告の需要や価値は今後拡大することはあっても、縮小することは決してありません。
それに伴い、医学系の出版事業も変わり、症例報告誌が雨後の竹の子のように登場しています(表)。新規参入のオンラインジャーナルの多くは、既存の雑誌との差別化のため、数百ドルから千数百ドル程度の投稿料を著者から取る一方、誰もが無料でPDFをダウンロードできるオープンジャーナルにして、引用数を増やし、インパクトファクターを稼いで良質な論文を呼び込むというビジネスモデルを取っているようです。
表 症例報告専門誌の例
Internal Medicine (
General Medicine (
BMJ Case Reports (
Journal of Medical Case Reports (
Journal of Medical Cases (
Journal of Radiology Case Reports(
International Journal of Case Reports and Images(
そのような背景で雑誌を創刊する際、大規模試験論文も症例報告も掲載コストは大差ありませんから、多くの医師にとって敷居の低い症例報告に特化した方が有利だと考えても不思議はありません。
症例報告にこだわる意義
もちろん、いくらインパクトファクターが稼げるといっても、症例報告は教授の椅子や大型研究費を手に入れるには余りにも非効率的な手段です。私もポストや科研費のために症例報告を書いてきたのではありません。
私が若い頃からこつこつ書いてきた症例報告には、どれにも患者さんと私の両者の思いがこもっています。中でも、私が最も誇りとしているのは、周囲の人々に「臨床を離れた」と言われていた厚労省時代に、単名で執筆してLancetに掲載された筋萎縮性側索硬化症の患者さんについての症例報告です2)。また、つい最近も単名で症例報告を書きました。仙台の筋弛緩剤「事件」における誤診を明らかにしたこの論文3)の目的が、学部長や病院長の椅子ではないのは誰の目にも明らかでしょう。
臨床を大切にする医師は、症例報告の大切さを身に染みて感じています。幸い、いつでも誰でもどこでも効率よく文献が検索できる時代になりました。あなたの貴重な経験を待っている人が地球上のどこかに必ずいるのです。あなたには、患者さんが教えてくれたことを、国境を越えて共有財産にする使命があるのです。
1) Vandenbroucke JP. In Defense of case reports and case series. Ann Intern Med 2001;134:330-334
2) Ikeda M. Family bias by proxy. Lancet 2005;365:187
3) Ikeda M. Fulminant form of mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes: A diagnostic challenge. J Med Cases 2011;2:87-90.
●いけだまさゆき氏。1982年東京医科歯科大学卒。国立精神・神経センター神経研究所、英グラスゴー大ウェルカム研究所、PMDA(医薬品医療機器総合機構)などを経て、08年10月より現職。
11.変形性膝関節症を診る
日経メディカル2012年1月6日
わが国でX線上に何らかの変化がみられる変形性膝関節症の患者数は2000万人以上に上るとも推定されており、腰痛に次いで整形外科領域では非常に一般的な疾患だ。治療面で新しい動きの出てきた変形性膝関節症について、現在の診断と治療のポイントをまとめた。
診断篇
「膝が痛いと訴える中高年齢層の患者が来ると、機械的に『変形性膝関節症です』と診断しがち。しかし、一部には他の重大な疾患が隠れている可能性もあるので、油断は禁物だ」─。大分大学整形外科学教授の津村弘氏は、こう警鐘を鳴らす。
では、鑑別疾患を順に見ていこう(表1)。特発性大腿骨内側顆骨壊死は、突然始まる膝の痛みが特徴だ。変形性膝関節症の場合、「膝が痛むのはいつからですか」と聞いても「3~4年前から痛い」など、曖昧な答えが返ってくる。一方、特発性大腿骨内側顆骨壊死の場合には具体的な日にちを記憶している患者が多い。進行すると2次性の変形性膝関節症に至ることがあり、年齢的にも変形性関節症の発症年齢と重なっており、混同されているケースがあるようだ。
表1●変形性膝関節症の鑑別疾患
必要に応じて積極的にMRIを
骨粗鬆症と関連する脆弱性骨折も見逃せない。症例1は、単純X線像ではあまり明瞭でないが、MRI像で明らかな骨折がみられる。単純X線像では判断が難しいケースは、積極的にMRI検査を行いたい。骨密度の数値によっては、骨粗鬆症の治療も考慮すべきだろう。特発性大腿骨内側顆骨壊死と脆弱性骨折については、炎症所見がみられないことも鑑別の参考になる。
痛風は男性に多く、足指関節に生じることが多いが、膝関節に尿酸が析出することもある。偽痛風(CPPD関節炎)はピロリン酸カルシウムの結晶によって生じる関節炎で、急激な膝関節痛を起こす。痛風・偽痛風ともに貯留した関節液を採取して観察し、尿酸やピロリン酸カルシウムの結晶がみられれば鑑別できる。また、C反応性蛋白(CRP)の軽度上昇や白血球増多など、炎症所見があれば変形性膝関節症ではないことが明らかになる。
関節リウマチは、一般的には手指の小関節から左右対称に発症するが、高齢者では膝などの大関節から発症することがある。「最初は変形性膝関節症かと思ったが、よく見ると手が腫れていたので関節リウマチを疑った。抗環状シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)検査を行ったところ陽性、画像所見でも骨萎縮が認められ、関節リウマチと確定診断した」と津村氏は自験例を振り返る。
症例1 膝痛を訴えて来院した脆弱性骨折の73歳女性
化膿性膝関節炎は細菌感染により生じ、炎症所見と膿性関節液の貯留が特徴だ。関節穿刺を行い、関節液から起炎菌を同定できれば診断は容易だが、難しいことも少なくない。
津村氏は、膝痛の発症が急性か慢性か、炎症所見があるかどうか、の2点がいずれも鑑別のポイントだと指摘した上で「変形性膝関節症と他の疾患が合併していることもある。安易に変形性膝関節症だと決めつけず、注意深い病歴の聴き取りが大切だ」と話している。
分子生物学的研究で予防に期待
変形性膝関節症とは、大腿骨と脛骨をつなぐ膝関節の厚さ2~4mmの軟骨がすり減って炎症を起こし、痛みやこわばり、腫れなどの症状を伴いながら進行し、関節の変形に至る疾患と定義されている。膝関節は荷重関節であり、力学的な負荷を受け続けることが発症につながると考えられている。
1つの関節内で不均一な軟骨の変性・摩耗と骨棘の形成が生じることが変形性膝関節症の特徴で、発症当初は動き始めにのみ痛みを感じるが、徐々に膝関節内に関節液が貯留し、歩行時の痛みも強くなってくる。進行すると膝が曲がりにくくなり、O脚変形が生じて手術が必要になる。
変形性膝関節症の危険因子としては、人種・性別・年齢など様々な要因が指摘されている。このうち遺伝性については、双子や兄弟姉妹のうち1人が発症すると、発症率が高くなるといった報告があるが、原因遺伝子の特定には至っていない。
「自己免疫疾患である関節リウマチではすべての関節が同じように破壊されていくが、変形性膝関節症では破壊される部分に偏りがあり、力学的負荷が病態に大きく関与していると考えられる。ただ、関節軟骨が減少していることも確かなので、軟骨を分解する酵素も何らかの影響を及ぼしているはず」と津村氏はみる。
関節軟骨の維持に重要なアグリカンとコラーゲンには、それぞれ分解酵素としてアグリカナーゼとコラゲナーゼがある。2007年、アグリカナーゼのノックアウトマウスを作製したところ、変形性関節症の進行が抑制され、軟骨組織も維持されていたと報告された(Arthritis Rheum 2007;56:3670-4.)。まだ動物実験の段階ではあるが、将来的な予防薬の開発につながるのではないかと期待されている。
治療篇
変形性膝関節症の主な治療法は、各種の理学療法、薬物療法、手術の3つ。理学療法は主に運動療法と物理療法に分けられ、物理療法には装具療法や温熱療法などが含まれる。運動療法については近年、一定の症例数を満たす報告が増えてきている。
津村氏らは約100人の変形性膝関節症患者に、股関節外転筋の強化訓練と大腿四頭筋の強化訓練を実施してもらったところ、訓練前に比べて筋力が増加して歩行時の姿勢が改善し、膝の痛みも改善するなどの効果が得られたと報告した。だが、「その後の経過をみたところ、筋力訓練をやめてしまう患者が多かった」(津村氏)ことから、いかに筋力訓練を長期間継続してもらうかが今後の課題となっている。
NSAIDsは抗潰瘍薬との併用を
治療の主体である薬物療法では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が最もよく使用されている。NSAIDsは以前から、消化性潰瘍などの消化管傷害を高頻度に来すとされている。藤田保健衛生大学整形外科学教授の山田治基氏は、「常用はせず、痛みが強い場合にのみ服用するよう患者には説明している。副作用が生じにくいといわれる外用剤も上手に使用したい」と強調する。
日本消化器病学会の「消化性潰瘍診療ガイドライン」では「NSAIDsの中止が不可能ならば、プロトンポンプ阻害薬(PPI)あるいはプロスタグランジン(PG)製剤を投与する」と記載されている。2010年にはランソプラゾールがNSAIDs投与時の胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発予防の効能・効果を取得し、2011年には同じ効能・効果を有するエソメプラゾールが発売され、消化管傷害の既往のある患者に対し、PPIを処方しやすい環境になってきた。
NSAIDsに防御因子増強薬を併用したところ消化性潰瘍が減少したとの報告もあり、患者背景によっては防御因子増強薬の使用も検討できそうだ。
NSAIDsの中では、炎症に強く関与するシクロオキシゲナーゼ(COX)-2を選択的に阻害するCOX-2選択的阻害薬を処方するのも手だ。ただし、COX-2選択的阻害薬は海外で、長期の使用により心筋梗塞、脳卒中などの心血管系イベントリスクが増大する可能性が指摘されている。基礎疾患を有することが多い高齢者への投与は注意が必要だろう。
山田氏は、「高齢者では薬物代謝動態を考慮し、半減期が短い薬剤を半量投与から開始するなどの対策が求められる。患者の痛みの強さや服用期間に合わせてNSAIDsを使い分けていく工夫も大切だ」としている。
鎮痛薬の有効性評価はこれから
また、局所投与の薬物療法として、副腎皮質ステロイド薬またはヒアルロン酸製剤の関節内注入も広く行われている。「膝に針を刺す侵襲的行為であり、感染症を起こす危険性などの問題もあるが、ステロイドの注入は、高度の滑膜炎で関節液の貯留があり、痛みが強い患者への症状改善が期待できる。長期間の使用は病態の悪化につながるので避けるべきだが、期間を限れば有用」と山田氏。
ヒアルロン酸製剤は、平均分子量90万のアルツと190万のスベニールに加えて2010年、平均分子量600万のヒアルロン酸ナトリウム架橋体製剤、サイビスクが発売された。日本整形外科学会では、OARSI(OsteoArthritis Research Society International)の変形性関節症の予防・治療のガイドラインを基にガイドラインを作成中だ。米国ではNSAIDs無効の進行例のみにヒアルロン酸製剤注入が認められているが、日本ではより早期から使用を開始しており、有用性は高いと記載される見込みだ。
「厳重な経過観察を行えば、4~5回の注入で数カ月間持続する症状改善が得られ、全身性の副作用も少ない。NSAIDs、ステロイド、ヒアルロン酸製剤を組み合わせて重症化を防ぐのが、現在の薬物療法のポイントと言ってよい」と山田氏は語る。
2011年、非麻薬系鎮痛薬であるトラマドール/アセトアミノフェン配合錠が発売された。慢性疼痛への鎮痛薬の使用については、除痛を治癒と誤解した患者が過度に運動してしまい、かえって関節破壊を進行させるのではないかと懸念する専門医の声がある。だが、手術を考慮する段階の患者の一部では、鎮痛薬によってQOLが改善し、筋力強化訓練を実施できるようになる可能性もある。変形性膝関節症治療における位置づけは、まだこれからと言えそうだ。
より安全な手術を目指す動き
手術に関しては、人工関節の改良が進み、関節軟骨に似た表面構造を持つもの、より人体に近い動作が可能なものが開発されてきた。人工膝関節全置換術(TKA)は現在、手術法の主流となっている(表2)。短期間で日常生活動作(ADL)を回復できることが特徴だ。
食事が悪い理由
表2●現在変形性膝関節症に対して行われている主な手術法
表2に挙げた手術法のうち、最小侵襲人工膝関節置換術(MIS TKA)は傷口を小さくし、筋肉の損傷を少なくすることで早期の社会復帰を目指す方法だ。高位脛骨骨切り術は以前からある手法だが、リハビリ期間が長く痛みの取れ方にばらつきがあるともいわれる。関節鏡視下デブリドマンは効果の持続期間が短い。
TKAのリスクとしては、術後の深部静脈血栓症(DVT)が挙げられる。「以前は日本人の下肢DVTは少ないとされてきたが、少なくとも下腿DVTに関しては欧米人と同様の頻度だと最近は考えられている。ふくらはぎにあるヒラメ筋内を走行するヒラメ静脈内に小さな血栓がみられることが多い」と津村氏は指摘する。
DVTを減らすためには、術前の入院期間をできるだけ短くし、術後も翌日から歩行訓練を開始するなどの対策が重要だ。また、下肢整形外科手術患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制に使用できる薬剤は、フォンダパリヌクス、エノキサパリンに加えて2011年に経口活性化血液凝固第X因子阻害薬のエドキサバンが発売され、3剤となった。「抗凝固薬の予防投与は、より安全性の高い手術を行うためにも欠かせない」と、津村氏は話している。
12.DVTへのカテーテル血栓溶解療法で血栓後症候群リスクが低下
急性DVT患者209人を対象に行われた無作為化試験の結果(Lancet誌から)
日経メディカル2012年1月6日
腸骨大腿静脈の急性深部静脈血栓症(DVT)と診断された患者に、標準治療に加えてカテーテル血栓溶解薬療法(CDT)を行うと、血栓後症候群(PTS)リスクが低下するのではないか―。そんな仮説の下、ノルウェーで行われたオープンラベルの無作為化試験で、CDT追加によってPTS発生率が低下することが示された。ノルウェーOslo大学のTone Enden氏らが、Lancet誌電子版に2011年12月13日に報告した。
下肢の症候性DVTの約8割は膝窩あるいは膝より上の近位静脈に発生する。DVTに対する現行の抗凝固療法は血栓の拡大・再発の予防において有効だが、血栓を溶解させる治療ではないことから、約半数の患者がPTSを発症する。弾性ストッキングを正しく着用すればPTSリスクは半減するが、それでも4人に1人がPTSを経験する。
血栓を速やかに除去すればPTSリスクは低下すると報告されているが、全身性の血栓溶解療法は出血リスクを高める。そこで著者らは、カテーテルを用いて血栓部位に血栓溶解薬を送達するCDTの安全性と長期的なPTS予防効果を検証するCaVenT試験を実施した。
ノルウェー南東部の20カ所の病院で、患者登録を実施。18~75歳で、初回の腸骨大腿静脈の急性DVTと診断された患者を、症状発現から21日以内に登録した。出血リスクの高い患者などを除外した209人を、1対1の割合で、標準治療(低分子量ヘパリンとワルファリン〔INR 2.0-3.0〕を用いた抗凝固療法と24カ月間の弾性ストッキング〔クラスII〕着用)または、標準治療+CDTに無作為に割り付け、24カ月間追跡した。
CDT群の患者には、当初は低分子量ヘパリンのみを投与し、CDTの8時間前にヘパリンの投与を中止して、CDTを実施。終了時点から1時間後にヘパリンとワルファリンの投与を開始した。CDTは、主に膝窩静脈から挿入したカテーテルを静脈造影で確認した血栓部位まで進めて、血栓溶解薬アルテプラーゼ(tPA)を0.01mg/kg/時で最長96時間投与する方法で行った。最大用量は20mg/24時間とした。
主要評価指標は、24カ月時点のPTSの発生率(Villaltaスコアを用いて評価)と、6カ月時の腸骨大腿静脈の開存率に設定し、intention-to-treat分析した。
209人を登録して、このうち108人を標準治療に、101人をCDTに割り付けた。24カ月後にデータが得られた189人(90%、平均年齢51.5歳、標準治療群99人、CDT群90人)を分析対象とした。
CDT群の患者のアルテプラーゼ投与期間の平均は2.4日だった。CDTにより血栓を完全に溶解できたのは43人、部分的(50~99%)溶解となったのは37人で、残る10人は溶解が50%に満たなかった。
24カ月間のPTS発生は、標準治療群が55人(55.6%、95%信頼区間45.7-65.0%)だったのに対し、CDT群は37人(41.1%、31.5-51.4%)だった(P=0.047)。PTS発生率の差、つまり絶対リスク減少は14.4ポイント(0.2-27.9ポイント、P=0.047)で、治療必要数(NNT)は7(4-502)になった。
6カ月時点の腸骨大腿静脈の開存率は、CDT群が65.9%(55.5-75.0%)、標準治療群は47.4%(37.6-57.3%)で、絶対差は18.5ポイント(4.2-31.8ポイント、P=0.012)となった。
だが、6カ月時点のPTS発生率は、CDT群が30.3%、標準治療群は32.2%で有意差は見られなかった(P=0.77)。
6カ月時に開存が確認された両群の患者と、開存不十分と判定された両群の患者の24カ月間のPTS発生率を比較したところ、それぞれ36.9%(28.2-46.5%)、61.3%(50.3-71.2%)で、開存が確認された患者における絶対リスク減少は24.4%(9.8-37.6%、P=0.001)になった。
CDT関連出血は20件報告されていた。うち3件が大出血、5件は臨床的に意義がある出血だったが、CDTに関連する死亡や肺塞栓症、脳出血は見られなかった。
CDTを追加するとPTSの発生率には臨床的に意義のある低下が見られた。一方でCDTを追加することによって、出血リスクは小さいながらも増加した。著者らは、近位DVTで重症の患者のうち、出血リスクが低く、利益がリスクを上回ると予想される患者にはCDTの追加を考慮すべきだと述べている。
原題は「Long-term outcome after additional catheter-directed thrombolysis versus standard treatment for acute iliofemoral deep vein thrombosis (the CaVenT study): a randomised controlled trial」
13.アトピー性皮膚炎の維持療法
寛解後も外用薬を間欠塗布する「プロアクティブ療法」が有用
第61回日本アレルギー学会秋季学術大会教育セミナー
福家辰樹(浜松医科大学小児科)
2011年11月10日に行われた第61回日本アレルギー学会秋季学術大会で、「アトピー性皮膚炎におけるプロアクティブ療法の実際とTARC検査」と題して講演した内容の一部を報告する。
アトピー性皮膚炎(AD)は、ガイドラインの登場により標準的な薬物治療を行える環境が整いつつある。しかし、改善後の維持療法は明確に示されていない。近年、欧米を中心に提唱された「プロアクティブ療法」は、ステロイドやタクロリムスなどの抗炎症治療を有効かつ安全に継続することで、急性悪化を防ぎ無症状の状態を長期間維持することを狙った方法であり、その臨床的有用性が認められつつある。
ステロイド外用後の維持療法は?
ADは寛解、増悪を繰り返し、強い掻痒を伴う湿疹を主病変とする慢性炎症性皮膚疾患である。その薬物療法、特にステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの外用療法については、国内外のガイドラインの登場により多くの医療従事者にとって標準的治療を行える環境が整いつつある。一方で、ガイドラインに沿った治療でもコントロール困難な重症AD患者が多く存在することも事実である。
ADの本態が慢性炎症である以上、改善後すぐに抗炎症治療をやめると再燃するのは当然ともいえるが、ステロイド外用薬における後療法(維持療法)について、これまで明確な使用方法は示されていなかったのが現状である。しかし近年、欧米を中心に提唱され、その優れた臨床効果で期待される治療法として「プロアクティブ療法」が注目されている。
プロアクティブ療法とその実際
プロアクティブ療法は、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏などの抗炎症治療を有効かつ安全に継続することで、急性悪化を防ぎ無症状の状態を長期間維持することを狙った方法である。近年、成人のみならず小児においてもその有効性と安全性について検討が積み重ねられつつある。
アクティブな状態の湿疹が抗炎症薬により一旦改善しても、組織中には低いレベルでの炎症細胞浸潤やバリア機能低下など軽度病変の存在が証明される。すなわち、寛解状態(見た目はツルツルの皮膚)でもサブクリニカルな炎症が残存している。そのため、予防的に抗炎症外用薬を間欠塗布し、長期にわたり寛解状態を維持することにより、炎症細胞は活動を制限され、IL-4、13をはじめとするサイトカインやケモカインの産生が抑制され続けることで、Th2タイプの炎症巣が徐々に正常化すると考えられる。
具体的な方法としては、慢性疾患、例えば喘息には「喘息日誌」があるように、「スキンケア日誌」という表を用意しアドヒアランスを確認することが望ましい(エクセルで簡単に作成できる)。抗炎症外用薬の連日塗布を指示し、寛解してツルツルの皮膚になる頃を次回受診とする。寛解が確認されれば、その日がスタートラインであることを告げ、寛解を維持できる頻度で間欠塗布を継続していく。
報告された研究では、週に2回から3回などの手法でエビデンスを構築している。実際の臨床では、患者や保護者から自宅での治療状況をよく聞き出し、フィードバックを受けながら個別に決めていくことが重要である。また、湿疹が悪化した場合は様子を見過ぎず、早めに抗炎症薬で寛解させることも重要である。さらに当科では、独立行政法人環境再生保全機構で作成しているAD診療のハンドブックなどを配布して、患者の理解を深めるよう努めている。
プロアクティブ療法の有効性
我々は2010年にADのプロアクティブ療法が他のアレルギー疾患の予後改善に寄与する可能性があることを報告した。「皮膚炎症とバリア機能破綻を改善させることが皮膚感作を防ぐ」という仮説が提唱される中で、後方視的調査としてプロアクティブ療法を行ってSCORAD(Severity Scoring of Atopic Dermatitis:重症度の目安)を低く保った群と、リアクティブ療法(湿疹が悪くなった時だけステロイド外用薬を塗布する方法)群とを比較すると、2年後の総IgE値の低下率に有意に差が生じることを報告した。しかもそれは、卵白および牛乳特異的IgE値をも下げる傾向にあった。この意味するところは、「ADの外用療法を確実に行うことが食物アレルギーの改善につながる」可能性が示唆されたことである。
また、ADの病勢を示す指標としてTARC(thymus and activation-regulated chemokine)/CCL17の有用性が知られている。当科における88人の後方視的検討でTARC値は急性期治療により大きく低下し、その後のプロアクティブ療法で維持ないし緩やかに低下する傾向が示された(初診時平均2796pg/mL、維持期1340pg/mL、p=0.0019)。なお、TARC値は治療不十分の状態の裏付けや、予防塗布頻度を考慮し直す際にも有用であるが、症例によっては重症度にそぐわない場合があったり、年齢や治療介入により変動の大きい検査値でもあるため、解釈には十分注意を要する。
プロアクティブ療法の安全性を検討
以上のように、近年、ADに対するプロアクティブ療法は臨床的有用性が認められてきているが、これらエビデンスは2000年以降のものであり、未だ十分とは言えない状況である。特に安全性に関する検証はどれも期間は1年以内と短いものばかりであり、残念ながら日本ではプロアクティブ療法に関する臨床研究が行われていない。
そこで我々は、ADに対するプロアクティブ療法の有効性と有効性に関する前向き研究を開始した(平成23年度日本学術振興会科学研究費助成事業No.23791165, UMIN000005536)。今年度は後方視的検討および新規患者登録期間として、まずは1年間の有効性、今後は長期的な安全性と予後変化を検討する予定である。
14.再発乳癌:長期生存の治療戦略
サブタイプ別にlong NCを維持し得た治療法を解析
第49回日本癌治療学会学術集会
武田泰隆(結核予防会複十字病院乳腺センター)
2011年10月27日に行われた第49回日本癌治療学会学術集会で、「再発乳癌の長期生存例からみたサブタイプ別治療戦略」と題して発表した内容の一部を報告する。
再発乳癌は基本的には治癒は望めないことから、いかにメンテナンス治療にもっていけるかが、長期生存への鍵となる。今回我々は、長期不変(long NC)を維持し得た治療法をサブタイプ別に検討し、一部のサブタイプで予後改善につながる治療法選択のヒントを得ることができた。
近年、乳癌の初期治療は腫瘍の生物学的特性を考慮して、治療法や薬剤の選択を行うようになってきている。進行再発乳癌においても、同様の考え方でその腫瘍に最適な治療法を効率よく選択できれば、予後の改善につながると考えられる。
そこで、我々は当院において再発後3年以上生存した27症例のlong NCを維持し得た治療法をサブタイプ別に後ろ向きに検討した(再発乳癌の50%生存率が2年から3年と言われている)。
Long NCが維持できた治療法
27症例の再発後の生存期間は37カ月から116カ月(69±24カ月:Av±SD)であった。遺伝子発現解析によるサブタイプの内訳は、Luminal A(LA)が16例、Luminal B(LB)が6例、HER2が3例、Triple negative(TN)が2例であった。再発までの期間(DFI)は、有意にLAタイプが長かったが、転移臓器別ではDFIに有意差は見られなかった。初再発臓器は、LAタイプで肺と骨に高い傾向が見られたが、他のサブタイプでは臓器指向性は見られなかった。癌死亡例9例の検討では、全生存期間にはサブタイプ別に有意差は見られなかった。
Long NCが維持できた治療法には、bisphosphonate(BP)・ホルモン療法・Metronomic chemotherapy(UFT、TS-1、XC、wPACなど)・抗癌剤を含めた抗HER2療法の継続(Beyond PD)があげられた。LA タイプではホルモン療法・Metronomic chemotherapy・BPなどであったが、LBタイプではホルモン剤や種々のBeyond PDであった。これらの治療法が奏効すれば、LAタイプや LBタイプでは長期生存が得られる可能性があると考えられる。
一方、HER2 タイプおよびTNタイプは症例が少なかったことから、一定の治療の方向性が見出せなかった。再発のリスクが高いといわれているHER2やTNの症例が今回の検討で少なかったのは、再発後の長期生存例が少ないことによるバイアスと考えられた。
再発乳癌の長期生存を目指して
再発乳癌の有意な予後因子として、「薬物療法の奏効度・活動度・DFI・肝転移・年齢」が報告されている(JJCO, 21:334-339, 1991)。この薬物療法の奏効度を事前にサブタイプ別に予見できれば、予後改善につながると考えられる。再発乳癌は基本的には治癒は望めないことから、いかにメンテナンス治療にもっていけるかが、長期生存への鍵となる。
以上より、再発乳癌の治療の目的は、QOLを良好に保ちながら、転移巣を制御することにある。重篤な状態(life-threatening)であれば、ファーストライン治療を行って生命を脅かさない状態(non life-threatening)へ持ち込む。Non life-threatening であれば、LA typeの場合はホルモン療法や Metronomic Chemotherapy を、LB タイプの場合は Beyound PD にて、メンテナンス治療を行っていくことで長期生存を目指すことができると考えられた。
15.Mental Decline Can Start at 45, Study Finds
Early lapses in memory, reasoning may signal dementia later in life, researchers say
HealthDay News2012年1月5日
Sorry, Boomers, but a new study suggests that memory, reasoning and comprehension can start to slip as early as age 45.
This finding runs counter to conventional wisdom that mental decline doesn't begin before 60, the researchers added.
"Cognitive function in normal, healthy adults begins to decline earlier than previously thought," said study author Archana Singh-Manoux.
"It is widely believed that cognitive ability does not decline before the age of 60. We were able to show robust cognitive decline even in individuals aged 45 to 49 years," added Singh-Manoux, research director at INSERM's Center for Research in Epidemiology & Population Health at the Paul-Brousse Hospital in Paris.
These findings should be put in context of the link between cognitive function and the dementia, Singh-Manoux said.
"Previous research shows small differences in cognitive performance in earlier life to predict larger differences in risk of dementia in later life," she said.
Understanding cognitive aging might enable early identification of those at risk for dementia, Singh-Manoux said.
The report was published in the Jan. 5 issue of BMJ.
For the study, Singh-Manoux and colleagues collected data on nearly 5,200 men and 2,200 women who took part in the Whitehall II cohort study. The study, which began in 1985, followed British civil servants from the age of 45 to 70.
Over 10 years, starting in 1997, the participants' cognitive function was tested three times. The researchers assessed memory, vocabulary, hearing and vision.
Singh-Manoux's group found that over time, test scores for memory, reasoning and vocabulary skills all dropped. The decline was faster among the older participants, they added.
Among men aged 45 to 49, reasoning skills declined by nearly 4 percent, and for those aged 65 to 70 those skills dropped by about nearly 10 percent.
For women, the decline in reasoning approached 5 percent for those aged 45 to 49 and about 7 percent for those 65 to 70, the researchers found.
"Greater awareness of the fact that our cognitive status is not intact until deep old age might lead individuals to make changes in their lifestyle and improve [their] cardiovascular health, to reduce risk of adverse cognitive outcomes in old age," Singh-Manoux said.
Research shows that "what is good for the heart is good for the head," which makes living a healthy lifestyle a part of slowing cognitive decline, she said.
Targeting patients who have risk factors for heart disease such as obesity, high blood pressure and high cholesterol might not only protect their hearts but also prevent dementia in old age, the researchers said.
"Understanding cognitive aging will be one of the challenges of this century," especially as people are living longer, they added.
In addition, knowing when cognitive decline is likely to start can help in treatment, because the earlier treatment starts the more likely it is to be effective, the researchers noted.
Francine Grodstein, an associate professor of medicine at Brigham and Women's Hospital in Boston and author of an accompanying editorial, said more research is needed into how to prevent early cognitive decline.
"If cognitive decline may start at younger ages, then efforts to prevent cognitive decline may need to start at younger ages," she said.
"New research should focus on understanding what factors may contribute to cognitive decline in younger persons," Grodstein added.
"This is consistent with what we have seen in other studies and the cognitive changes that occur as we age," said Heather M. Snyder, senior associate director of medical & scientific relations at the Alzheimer's Association.
These changes do not mean that all these people will go on to develop Alzheimer's disease or another dementia, Snyder noted. "It is important to remember that the cognitive changes associated with aging are very different from the cognitive changes that are associated with Alzheimer's disease," she stressed.
Although some of these people may go on to develop Alzheimer's disease there is currently no way to tell who is at risk, Snyder said. "This is why it is so important to continue to investigate biological changes that occur in the earliest stages, because it is difficult to [determine] the cognitive changes that are associated with Alzheimer's disease," she said.
Snyder noted that Alzheimer's disease can start 15 to 20 years before symptoms are apparent, which makes finding a biological marker so important. "If a therapeutic is available, we can intervene at that point," she said.
More information
To learn about cognitive decline, visit the U.S. National Library of Medicine.
SOURCES: Archana Singh-Manoux, Ph.D., research director, INSERM, Center for Research in Epidemiology & Population Health, Paul-Brousse Hospital, Paris; Francine Grodstein, Sc.D., associate professor, medicine, Brigham and Women's Hospital, Boston; Heather M. Snyder, Ph.D., senior associate director, medical & scientific relations, Alzheimer's Association, Chicago; Jan. 5, 2012, BMJ
16.Could Daily Aspirin Harm Seniors' Eyes?
Study found possible association between drug and age-related macular degeneration
HealthDay News2012年1月5日
Daily aspirin use among seniors may double their risk of developing a particularly advanced form of age-related macular degeneration, a debilitating eye disease, a large new European study suggests.
The possible link involves the so-called "wet" type of age-related macular degeneration (AMD), a significant cause of blindness in seniors.
Aspirin use was not, however, found to be associated with an increased risk for developing the more common, and usually less advanced, "dry" form of AMD, according to the report published in the January issue of Ophthalmology.
Although the study team stressed that further research is needed, the findings could cause concern for the millions of older people who routinely take over-the-counter aspirin for pain, inflammation and blood-clot management, and to reduce their risk of heart disease.
"People should be aware that aspirin, often just bought over the counter without prescription, may have adverse effects -- apart from major gastrointestinal and other bleeding -- also for AMD," said lead author Dr. Paulus de Jong.
De Jong is an emeritus professor of ophthalmic epidemiology at the Netherlands Institute for Neuroscience of the Royal Academy of Arts and Sciences, as well as the Academic Medical Center, both in Amsterdam.
Age-related macular degeneration affects the critical central vision required for reading, driving and general mobility. The damage occurs when the retinal core of the eye (the macula) becomes exposed to leaking or bleeding due to abnormal growth of blood vessels.
To examine whether aspirin use might trigger this process, the authors focused on nearly 4,700 men and women over age 65 living in Norway, Estonia, the United Kingdom, France, Italy, Greece and Spain.
In the study, conducted between 2000 and 2003, the researchers looked at blood samples, frequency of aspirin use (though not doses), smoking and drinking history, stroke and heart attack records, blood pressure levels and sociodemographic data.
The team also analyzed detailed images of each participant's eyes, looking for indications of age-related macular degeneration and severity.
Daily aspirin use was associated with the onset of late-stage "wet" age-related macular degeneration, and to a lesser degree, the onset of early "dry" AMD -- even after the researchers took into account age and a history of heart disease, which in itself is a risk factor for AMD.
For late-stage wet AMD only, the association was stronger the more frequently an individual took aspirin.
Early AMD was found in more than more than one-third of participants (36 percent), while late-stage AMD was found in roughly 3 percent, or 157 patients.
Of those with late AMD, more than two-thirds (108) had wet AMD, while about one-third (49) had dry AMD, the researchers found.
More than 17 percent of participants said they took aspirin daily, while 7 percent took it at least once a week and 41 percent did so at least once a month.
About one-third of those with wet AMD consumed aspirin on a daily basis, compared with 16 percent of those with no AMD.
The study authors cautioned that further research is needed on aspirin's possible effects on eye health. Meanwhile, they suggested that doctors generally should not alter their current advice for aspirin use among older patients coping with heart disease risk.
"[But] I would advise persons who [already] have early or late AMD not to take aspirin as a painkiller," de Jong said. "[And] I would advise people with AMD who take small amounts of aspirin for primary prevention -- this means having no past history of cardiac or vascular problems like stroke, and no elevated risk factors for these diseases -- to discuss with their doctor if it is wise to continue doing so. For secondary prevention -- this means after having these elevated risks or disorders -- the benefits of daily aspirin outweigh the risks."
While the study uncovered an association between aspirin use and AMD, it did not prove a cause-and-effect relationship.
This point was also made by Dr. Alfred Sommer, a professor of ophthalmology and dean emeritus at the Bloomberg School of Public Health at Johns Hopkins University in Baltimore. He noted that while the study was "well executed," it should not be seen as definitive proof that aspirin use and AMD are linked.
An observational study of this type "merely calls attention to the fact that such an association may exist, and that it may be causal, but only randomized clinical trials can prove the matter one way or the other," he said.
"Hence, this might or might not be real," Sommer added, "and we will only know that when and if a randomized trial is done."
In the interim, he said the findings should not guide patient behavior.
"It is well known that aspirin [and other NSAIDs] can increase the risk of gastric distress and gastric ulcers," Sommer said. "Like any medicine, it should only be taken if needed. But those taking aspirin to prevent heart disease, particularly those at increased risk of heart disease, definitely do benefit and should not change what they do."
More information
For more on age-related macular degeneration, visit the U.S. National Eye Institute.
SOURCES: Paulus de Jong, M.D., Ph.D., emeritus professor of ophthalmic epidemiology, Netherlands Institute for Neuroscience of the Royal Netherlands Academy of Arts and Sciences, and Academic Medical Center, Amsterdam, the Netherlands; Alfred Sommer, M.D., professor, ophthalmology, and dean emeritus, Bloomberg School of Public Health, Johns Hopkins University, Baltimore; January 2012, Ophthalmology
17.Flu Prevention Critical for Those With Neurologic Conditions, CDC Says
Outbreak at Ohio residential facility resulted in 7 deaths last winter, report says
HealthDay News2012年1月5日
Children and young adults with neurological and neurodevelopmental conditions are at high risk for complications from the flu and should receive flu vaccinations, say health officials who investigated a flu outbreak in Ohio in February 2011.
Of the 130 people living at a residential facility for children and young adults with neurological and neurodevelopmental conditions, 76 (58 percent) developed respiratory illness. Thirteen became severely ill and seven died.
All 13 residents who became severely ill had multiple neurological and neurodevelopmental conditions, which may have hindered early diagnosis and treatment of the flu and contributed to the severity of their illness, said the research team from the Ohio Department of Health and the U.S. Centers for Disease Control and Prevention (CDC).
The investigators said doctors need to watch for signs of flu among children and young adults with neurological and neurodevelopmental conditions, especially during flu season.
Because these people are at high risk for flu-related complications, vaccination should be part of an overall prevention program that also includes giving antiviral drugs in the early stages of flu, ideally within 48 hours of the first symptoms, the researchers said.
The report appears in the Jan. 6 issue of the Morbidity and Mortality Weekly Report, published by the CDC.
More information
The American Academy of Family Physicians has more about flu prevention.
SOURCE: Jan. 6, 2012, Morbidity and Mortality Weekly Report, U.S. Centers for Disease Control and Prevention
18.Drug Eases Gout Flare-ups in Some Patients: Study
Starting gout treatment can lead to flare-ups, this drug might help
HealthDay News2012年1月5日
Preliminary findings suggest a drug used to treat another disease might also reduce painful flare-ups in gout patients starting new medication regimens.
In a new study, the protein-inhibitor drug rilonacept (Arcalyst) appeared to markedly lower the risk of gout flare-ups during the first few months of treatments aimed at lowering uric acid levels.
While effective in lowering the risk for gout attacks in the long-term, uric acid-lowering treatment can initially boost the risk for flare-ups as it breaks up and releases the uric acid crystal deposits at the source.
"To reduce deposits of crystals in the joints, we advise patients to initiate treatment with medications that lower levels of uric acid in the blood," study author Dr. H. Ralph Schumacher, Jr., a professor of medicine at the University of Pennsylvania School of Medicine, said in a journal news release.
Gout, a debilitating and painful form of inflammatory arthritis, now affects upwards of 8.3 million Americans, according to the release. Flare-ups , which involve excruciating joint pain, redness, swelling and warmth, can last days or weeks.
The researchers wanted to learn if rilonacept could lower this short-term risk for by neutralizing a specific target protein -- interleukin 1 or IL-1 -- before it initiates inflammation.
They looked at 83 gout patients in 27 U.S. study centers who had a history of gout flare-ups and high levels of uric acid. All were placed on a chronic uric-acid lowering regimen of the standard drug allopurinol.
About half were also given an initial double-dose injection of rilonacept (320 milligrams) followed by a single dose for 16 weeks. The other half received sugar pills.
Rilonacept patients were less likely to have flare-ups, with 15 percent experiencing flare-ups three-months into the study compared with 45 percent among the non-rilonacept group, the researchers found.
"Well-tolerated drugs that reduce the risk of gout flares when initiating uric-acid lowering therapy could make patients more likely to continue important long-term treatments that control gout," Schumacher said in the release.
"(And) this trial provides well-controlled evidence that this IL-1 blocker is effective in preventing acute gout flares in this setting," he added. "Rilonacept appears safe and well tolerated and could increase patient adherence to long-term urate-lowering therapy."
The study appeared online Jan. 5 in the journal Arthritis & Rheumatism.
Dr. Michael A. Becker, a professor emeritus of medicine at the University of Chicago, described the findings as "very promising." However, he cautioned that the high cost of rilonacept will most likely curtail its use.
"This is a very expensive drug," he said. "And insurance will be an issue. So I think you will have to carefully justify its use and define the universe of patients who are likely to be treated with it."
"But there are a number of patients who can't take a less expensive alternative, such as nonsteroidal anti-inflammatory drugs, because of their kidney function or ulcer disease," Becker noted. "So for this population of patients who can't tolerate cheaper medications, rilonacept may be a necessary indication."
More information
For more on gout, visit the U.S. National Library of Medicine.
SOURCE: Michael A. Becker, professor emeritus, medicine, University of Chicago; Arthritis & Rheumatism, news release, Jan. 5, 2012
19.Blood Test May Reveal Child's Sex Soon After Conception
More work is needed, but blood draw could reduce invasive procedures, researchers say
HealthDay News2012年1月5日
New research suggests that a blood test may one day be able to tell expectant mothers the gender of their baby as early as the first trimester.
Such a test would be the first of its kind, according to the South Korean researchers.
They collected blood samples from more than 200 women in the first trimester of pregnancy and concluded that various ratios of two enzymes called DYS14 and GAPDH in a pregnant woman's blood indicate if a baby will be a girl or a boy.
The study appears in the January issue of the FASEB Journal, published by the Federation of American Societies for Experimental Biology.
"Generally, early fetal gender determination has been performed by invasive procedures such as chorionic villus sampling or amniocentesis," said Dr. Hyun Mee Ryu, from the department of obstetrics and gynecology at Cheil General Hospital and Women's Healthcare Center at the KwanDong University School of Medicine in Seoul. "However, these invasive procedures still carry a one to two percent risk of miscarriage and cannot be performed until 11 weeks of gestation. Moreover, reliable determination of fetal gender using ultrasonography cannot be performed in the first trimester, because the development of external genitalia is not complete," the researcher added in a journal news release.
"Therefore, this can reduce the need for invasive procedures in pregnant women carrying an X-linked chromosomal abnormality and clarify inconclusive readings by ultrasound," the researcher explained.
More research is needed before such tests are widely available, the researchers said. But, "this paper does show it is possible to predict the sex of a child as early as the first few weeks after conception," Dr. Gerald Weissmann, editor-in-chief of The FASEB Journal, said in the news release.
"At present, parents are sometimes given the wrong information about the sex of their unborn child; this test should prove helpful in resolving any uncertainties of today's ultrasound observations," he added.
More information
The U.K.'s National Health Service explains what determines a baby's gender.
SOURCE: FASEB Journal, news release, Jan. 3, 2012
20.Heart Failure, Diabetes Might Be Linked by Protein
Although 'p53' helps suppress tumors, new study finds negative effects
HealthDay News2012年1月5日
Researchers may have pinpointed how heart disease can lead to diabetes, a finding that could lead to new preventive treatments.
The team at Chiba University in Japan found that the stress of heart failure activates a protein called p53, resulting in inflammation in fat tissue, systemic insulin resistance and worsening heart function.
This domino effect is outlined in a study in the January issue of the journal Cell Metabolism.
"Our findings clarify the reasons why the incidence of heart failure is high among diabetic patients, why the prevalence of insulin resistance is increased in heart failure patients and why treatment of insulin resistance improves the prognosis of heart failure patients," study author Tohru Minamino said in a journal news release.
Previous research by the author has shown that build-up of p53 in the heart -- from stress or age -- promotes heart failure, the release said. While p53 is best known as a tumor suppressor, it is also a cellular aging agent, according to Minamino. He explained that constant activation of p53 can lead to inflammation and aging-related diseases.
Finding a way to block inflammation associated with p53 activation without compromising the protein's tumor-fighting abilities could lead to anti-aging therapy without the cancer risk, Minamino said.
More information
The U.S. National Diabetes Education Program outlines how you can prevent diabetes.
SOURCE: Cell Metabolism, news release, Jan. 3, 2012
21.Antibiotics in Pregnancy May Shield Newborns From Strep B
Developing countries should adopt this practice for at-risk moms-to-be, researchers say
HealthDay News2012年1月5日
Giving antibiotics to pregnant women at risk of streptococcus B infection greatly reduces infection rates in newborns, according to a new study.
Use of antibiotics to prevent group B strep is common in high-income nations and should also be used in developing countries, at least until a vaccine becomes available, said study author Dr. Karen Edmond, of the London School of Hygiene and Tropical Medicine in England, and colleagues.
The researchers analyzed dozens of previous studies and found that the mean global incidence of group B strep infection in infants up to 3 months old was 0.53 per 1,000 live births and the mean death rate was 10 percent.
Africa had the highest incidence (1.21 cases per 1,000 live births) and death rate (22 percent). Incidence in the Americas [0.67 per 1,000 live births] and Europe [0.57 per 1,000 live births] was also higher than the global average. The death rate was 11 percent in the Americas and 7 percent in Europe.
Worldwide, the death rate for early-onset group B strep infection -- occurring the first week of life -- was 12 percent, twice that of later-onset disease.
Sixty-nine percent of the studies reported use of any preventive antibiotic treatment in the time between labor and delivery (intrapartum). Rates of early-onset disease were three times lower in studies that reported preventive use of antibiotics than those that did not report such use.
The study appears in the Jan. 5 issue of The Lancet.
The most common strep B serotype in all regions was serotype III (49 percent), followed by serotypes Ia (23 percent), Ib (7 percent), II (6 percent), and V (9 percent).
The distribution of strains of strep B appears similar worldwide, which means that vaccines currently in development could have near-universal applicability, according to the researchers.
"A conjugate vaccine incorporating five serotypes (Ia, Ib, II, III, V) could prevent most global group B streptococcal disease," they wrote in a journal news release. Phase 3 trials of vaccines will soon begin in Africa, they said.
"Vaccination of pregnant women also has the potential to reduce premature births, stillbirths, and puerperal sepsis [a toxic condition] caused by group B streptococcus," the researchers said.
More information
The U.S. Centers for Disease Control and Prevention has more about group B strep infections in newborns.
SOURCE: The Lancet, news release, Jan. 4, 2012
22.日本医師会10大ニュース2011
23.2012年1月5日 インフルエンザの発生状況について
24.プレスリリース
1) 武田薬品と阪大、ナノ粒子ワクチンの実用化・産業化に向け共同研究講座を設置
2) ドラベ症候群治療薬ME2080(スチリペントール)製造販売承認申請のお知らせ
3) ドライアイ治療剤「ムコスタ点眼液UD2%」1月5日 新発売
25.Other Topics
1) 世界初「キメラ」猿…遺伝的に異なる細胞混在
読売新聞社2012年1月6日
遺伝的に異なる2種類以上の細胞がモザイク状に入りまじった「キメラ」のアカゲザルを作ることに米オレゴン健康科学大学が世界で初めて成功した。
米科学誌「セル」電子版で5日、発表した。
同大の立花真仁研究員らは、人工授精で作った複数の胚(受精卵)を凝集させたうえで母胎に戻したところ、健康な子ザル3匹が生まれた。全身が、3~6種類の胚に由来することを確認。本来、別々に生まれる「兄弟」の遺伝子が混じっていることを意味する。うち1匹は、最大6種の胚が混合していることから、日本語で「ロク」と命名した。
マウスではすでに、胚性幹細胞(ES細胞)からキメラ個体を作ることは一般的。黒い毛のマウスと白い毛のマウスを使ってキメラを作ると、子供は白黒のまだらになる。しかし、サルではこの方法は通用せず、ES細胞より早い段階の「4細胞期」と呼ばれる胚を使う必要があった。
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