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1.がん治療:重粒子線治療、付属病院内に施設設置へ-山形大
2.3大死因いずれも増加、順位変わらず―厚労省推計
3.名工大、骨の手術穴再生促進へ新素材
4.リウマチ遺伝子発見 京大グループ、治療に期待
5.体外受精培養液に化学物質 妊婦血液の最大100倍
6.胃バイパス手術で肥満者の心臓疾患死リスクが低下、研究
7.【厚労省】副作用被害救済の不支給‐患者判断の使用事例も
8.EBMの導入などで医療の「悪平等」解消を- 経済評論家・勝間和代氏に聞く
9.尊厳死法制化で議連が骨子まとめる
10.私が症例報告を書き続ける理由
11.変形性膝関節症を診る
12.DVTへのカテーテル血栓溶解療法で血栓後症候群リスクが低下
13.アトピー性皮膚炎の維持療法
14.再発乳癌:長期生存の治療戦略
15.Mental Decline Can Start at 45, Study Finds
16.Could Daily Aspirin Harm Seniors' Eyes?
17.Flu Prevention Critical for Those With Neurologic Conditions, CDC Says
18.Drug Eases Gout Flare-ups in Some Patients: Study
19.Blood Test May Reveal Child's Sex Soon After Conception
20.Heart Failure, Diabetes Might Be Linked by Protein
21.Antibiotics in Pregnancy May Shield Newborns From Strep B
22.日本医師会10大ニュース2011
23.2012年1月5日 インフルエンザの発生状況について
24.プレスリリース
1) 武田薬品と阪大、ナノ粒子ワクチンの実用化・産業化に向け共同研究講座を設置
2) ドラベ症候群治療薬ME2080(スチリペントール)製造販売承認申請のお知らせ
3) ドライアイ治療剤「ムコスタ点眼液UD2%」1月5日 新発売
25.Other Topics
1) 世界初「キメラ」猿…遺伝的に異なる細胞混在
****************************************1.がん治療:重粒子線治療、付属病院内に施設設置へ-山形大
毎日新聞社2012年1月6日
山形大は5日、重粒子線治療によるがん治療施設を、山形市飯田西2の医学部付属病院敷地内に設置する計画を進めていることを明らかにした。重粒子線治療は、患者の体にメスを入れずに、粒子線をがん細胞に照射する最先端の治療方法。実現すれば東北初の施設で、同大は近く検討組織を設ける方針。
結城章夫学長が5日の記者会見で発表した。同大医学部によると、総事業費は約150億円で、年間2000人程度の利用を見込んでいる。付属病院内に開設することで、病院の他部門との連携も期待できるという。
重粒子線によるがん治療は、前立腺がんや体の深部にできたがんへの治療に効果的とされている。国内では、放射線医学総合研究所(千葉県)▽兵庫県立粒子線医療センター▽群馬大重粒子線医学研究センターの3カ所で稼働している。
2.3大死因いずれも増加、順位変わらず―厚労省推計
Medical Tribune2012年1月6日
厚生労働省は1月1日、2011年人口動態の年間推計を発表した。3大死因順位は悪性新生物(がん)、心臓病、脳血管疾患(脳卒中)と変わらなかったが、 前年に比べていずれも死亡数の増加が推計された。そのほかの年間推計項目は、死亡数、出生数、死産数、自然増減数、婚姻件数、離婚件数で、これらの統計月報年計(概数)の公表は6月を予定している。
東日本大震災の影響も
2011年の年間死亡数は126万1,000人(前年比6万4,000人増、人口1,000人当たり死亡率10.0)、出生数は105万7,000人(同1万4,000人減)で、人口の自然増減数は-20万4,000人(前年-12万5,708人)と推計された。
3大死因の死亡数の推計は、第1位が悪性新生物(がん)の35万8,000人、第2位は心臓病の19万8,000人、第3位が脳血管疾患(脳卒中)の12万6,000人。順位は変わらないものの、前年に比べていずれも増加している。
一方、婚姻件数は67万組で前年比3万組減、離婚件数は23万5,000組で同1万6,000組減と推計された。
なお、厚労省によると、今回の推計結果は、2011年3月に起きた東日本大震災の影響により調査票の一部が収集できていないため過小推計となる一方、死亡数については1~12月の増減率の推計値として用いる1~10月の増減率(対前年同期比)が1~12月の増減率より大きくなると考えられる可能性もあるという。
◆資料
◆平成23年(2011) 人口動態統計の年間推計
3.名工大、骨の手術穴再生促進へ新素材
共同通信社2012年1月6日
椎間板ヘルニアや骨肉腫などのがんの手術で骨に開けた空洞に詰め、早期の再生を促す綿状の新素材を、名古屋工業大の春日敏宏教授らのグループが開発した。研究レベルでは紙状の素材も同時に完成。2012年中に米国で臨床試験をスタートさせる。
現在の医療現場では、開いた穴に本人から取った骨を整形して詰める方法が一般的だ。しかし、患者に負担がかかるうえ、骨は硬くて整形が難しく、穴にうまく合わないため空洞が残ってしまう恐れがあった。
新素材には骨の原料のカルシウムと細胞を活発に働かせるケイ素などを使用。材料を混ぜ合わせて、通常の綿繊維の10分の1の太さに相当する直径10マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)~15マイクロメートルの糸状に加工し、紙や綿のようなシート状に整える。
新素材の繊維はしっかりと空洞を埋められると同時に、押し込んでも再生された細胞が入ってこられるわずかな隙間が残る太さ。実際に使った場合には体内で徐々に溶けて最終的にはなくなってしまう。
ウサギを使った実験では、自分の骨で空洞を埋めた際と同じ4週目で再生が始まり、素材は半年で体内から消えた。セラミックを活用する素材もあるが、再生開始まで2~3カ月も必要となるうえ、値段が新素材の倍近い。
春日教授は「高齢化が進む日本でこそ骨再生の技術が重要だ」と強調しているが、認可に10年近くかかるため、米国での臨床試験を選択した。
「米国なら臨床試験をしながら販売もできる。本当は日本で臨床試験をしたかった」と話している。
4.リウマチ遺伝子発見 京大グループ、治療に期待
共同通信社2012年1月6日
関節リウマチの患部に多く現れるタンパク質を、京都大医学研究科の伊藤宣准教授らのグループが新たに見つけた。リウマチの診断や治療に役立つ成果という。
手足の関節が侵される関節リウマチでは、関節を包み込む滑膜に炎症が起こり、進行すると軟骨や骨が破壊されていく。
グループは、マウスを使った実験で、炎症が起きている滑膜では、コレステロールの一種と結合するタンパク質LOX―1が多く現れていることを見つけた。LOX―1とコレステロールの結合を阻害すると、炎症や関節の破壊が抑えられることも確認した。
関節リウマチの患者50人の血液を解析した結果、症状が重い患者ほどLOX―1の一部(sLOX―1)の濃度が高く、治療で症状が改善した患者は濃度が下がることも分かった。
現在、関節リウマチの診断では、血中の炎症性の物質や滑膜が作る酵素の濃度を調べる検査が行われているが、sLOX―1を新たな指標として用いることも期待できるという。
5.体外受精培養液に化学物質 妊婦血液の最大100倍
日本経済新聞社2012年1月6日
プラスチックを加工しやすくする化学物質「フタル酸エステル類」が、人の体外受精で必要となる培養液に高い濃度で含まれていることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。妊婦の血液から検出される濃度の最大で約100倍に相当。動物の胎児の生殖機能に影響を与える濃度の千分の1ほどだが、マウスの細胞の遺伝子には異常が起きるレベルで、受精卵や胎児への影響が懸念される。
日本では体外受精で毎年2万人以上の赤ちゃんが生まれており、主任研究者で有隣厚生会東部病院(静岡県御殿場市)の牧野恒久院長は「生命発生の重要な時期にこのような培養液を使って大丈夫なのか、詳しく調べる必要がある」と説明、培養液に高濃度の化学物質が含まれるとの研究結果は世界初という。
フタル酸エステル類は身近な工業製品に幅広く使われており、人の血液や尿からも検出され、空気や食品などを通じた体内への取り込みが問題となっている。
研究班が調べたのは、精子を選別したり、受精卵を数日間育てたりするための培養液24製品と、培養液に栄養源として添加する人の血清6製品。国内の臨床現場で使われているほとんどの製品を分析対象にしたという。
培養液からは、フタル酸エステル類のDEHPが1ミリリットル当たり約10~110ナノ(ナノは10億分の1)グラム、DEHPが体内で代謝されてできるMEHPは約2~250ナノグラム検出された。いずれも、人の血清が含まれる製品で濃度が高い傾向にあった。一方、妊婦の血液からはDEHPは約10ナノグラム、MEHPは約2ナノグラム検出された。
培養液への添加用の血清では、DEHPが最大約980ナノグラム、MEHPが1840ナノグラムとさらに高濃度で、海外などで提供された血液が汚染されていた可能性があるという。
6.胃バイパス手術で肥満者の心臓疾患死リスクが低下、研究
AFPBB News2012年1月6日
胃袋を小さくする胃バイパス手術などの肥満治療手術を受けた肥満患者は、ほかの減量治療を受けた患者よりも心臓まひや発作による死亡率が低いとの研究論文が、米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association)の1月4日号に掲載された。
スウェーデン・イエーテボリ大学(University of Gothenburg)の研究チームは1987年から2001年にかけ、肥満の被験者約4000人を国内で募集し、2年、10年、15年、20年後に追跡調査を行った。
被験者のうち肥満治療手術を受けた人たちの内訳は、胃バイパス手術を受けた人が13.2%、胃バンディング手術が18.7%、垂直帯胃形成術が68.1%で、追跡期間中に全員が16~23%の減量に成功している。
一方、肥満治療手術を受けていない対照群の減量の割合は0~1%だった。
心臓まひによる死亡者は、手術を受けたグループで22人、対照群では37人だった。
こうした結果から、研究チームは、肥満治療手術と心臓まひおよび心臓発作による死亡の減少に関連性が認められると結論づけた。また、死に至らない、心臓まひや心臓発作の発生率も減少していた。
一方、体重の変化だけをみた場合、両グループとも、心臓疾患死との目立った関連性は認められなかった。このことから、減量だけが心臓疾患死を減らす要因ではないとみられる。
「メッセージは明らか。肥満治療手術は命を救うということだ」と、米ニューヨーク(New York)のレノックス・ヒル病院(Lenox Hill Hospital)で肥満治療手術を担当するミッチェル・ロズリン(Mitchell Roslin)医師は言う。ロズリン医師は、イエーテボリ大の研究には関わっていない。
論文のなかでは垂直帯胃形成術を受けた被験者が最も多かったが、現在ではこれに代わる、より効果的な新しい手術法が多く取り入られていることから、ロズリン医師は心臓疾患死リスクは研究時よりもさらに減少しているだろうと指摘した。
胃バイパス手術は、胃袋を小さく分割し、食物の摂取量を少量に抑えるための手術。国民の3人に1人が肥満の米国では、毎年20万件行われている。
7.【厚労省】副作用被害救済の不支給‐患者判断の使用事例も
薬事日報社2012年1月6日
厚生労働省医薬食品局は「医薬品・医療機器等安全性情報」で、医薬品を適正に使用しなかったために副作用被害救済制度から給付金や医療手当が支給されなかった事例を紹介している。それによると、必要な検査を実施していなかったり、承認された効能・効果、用法・用量と異なる使い方や、使用上の注意の「禁忌」「重要な基本的注意」に従わなかった場合のほか、医師の処方に反する使用を自己判断で行って、救済を受けられなかった患者もいた。
医薬品副作用被害救済制度は、製薬企業からの拠出金を財源として医薬品医療機器総合機構が運営している。医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した、重度の健康被害を受けた患者や家族を救済する仕組みで、1980年の創設から1万人以上が請求し、うち約1500人が不支給となっている。2010年度は97人が不支給となり、医薬品の副作用と認められなかったのが42%、健康被害が軽度だったのが21%で、次いで不適正使用が15%を占めた。
安全性情報では、チアマゾールで定期的に実施することになっている血液検査を怠った事例や、塩酸リドカイン・アドレナリン注射剤を禁忌の足趾に局注して、適正使用と認められなかった事例を掲載。また、医師が中止を指示したにもかかわらずカルバマゼピンの継続服用して薬剤性過敏症症候群を発症したり、家族に処方された総合感冒薬を使用して薬物性肝障害が現れた事例を紹介している。
厚労省は、使用上の注意の熟読と医薬品の適正使用を呼びかけると共に、適正な使用でない場合に公的な救済が行われないことに注意を促している。
8.EBMの導入などで医療の「悪平等」解消を- 経済評論家・勝間和代氏に聞く
CareerBrain2012年1月6日
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